GARD (Global Antibiotic R&D) パートナーシップ発足にあたり資金助成を獲得

[2016年5月24日 ジュネーブ・スイス]

<2016年5月24日DNDiが発表したプレスリリースの参考和訳です。>

世界保健機関 (WHO) とDNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative 顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ) は、公衆衛生上の大きな脅威となり得る薬剤耐性に向けて、抗生物質による新たな治療法を開発するために、チームを発足させ、科学的戦略、最初の研究開発ポートフォリオの構築に必要な資金の助成を受けたことを本日発表しました。

GARD (Global Antibiotic R&D) パートナーシップのミッションは、薬剤耐性に向けて、抗生物質による新たな治療法を開発し、「責任ある使用」の促進を図り、すべてのニーズに公平なアクセスを可能にすることです。GARDはDNDiにより、WHOと協働で構築されます。

「抗生物質による新たな治療法を生み出す研究開発には、より多くの投資が必要です。さもなければ、近代医学の礎石は失われ、治療可能な感染症や小さな傷が、死をもたらしかねません」とWHO事務局長補佐官のマリーポール キエニー (Marie-Paule Kieny) 博士は述べています。「とは言え、耐性菌の出現を遅らせるために、新たな抗生物質に対してその使用法を変える必要があります。GARDは、研究開発プロセスにおいて「責任ある使用」の構築に努めながら、この試みから生まれる新しい医薬品が、必要とするすべての人々にいきわたるように努力します」と付け加えました。

ジュネーブで開かれた第69回世界保健総会 (WHA) でGARDパートナーシップが立ち上がった時に、DNDiはGARDのために、ドイツ連邦保健省、オランダの保健・福祉・スポーツ省、南アフリカ医学研究評議会、英国国際開発省の4政府、ならびに医療・人道組織である国境なき医師団から計200万ユーロを超える研究助成を2年間のインキュベーション・フェーズ (構築の完了時まで) のため確保していることを発表しました。

「GARDは、研究開発の現システムにおいて何十年にもわたり取り組みが不十分だった領域の治療法開発に補足的に取り組んでいきます」とDNDiの最高責任者であるベルナール ぺクール (Bernard Pécoul) 医師は述べています。「GARDは、パートナーシップのベースとなるアプローチ、すなわち公衆衛生上の優先事項に焦点を当て、オープンに知識の共有を図り、必要とする人々が持続的に治療を受けられるようにします」と付け加えました。

GARDは現在、研究開発パイプラインのギャップを埋める短期~中期の優先プロジェクトのために調査を行っており、同時に長期的な事業計画にも取り組んでいます。インキュベーション期間の目標は3~4件のプロジェクトの融資を受け、それらを2017年末までに終え、同時にGARDは独立した組織になります。

「GARDが高・中所得国などから資金援助を受けることは、この危機的問題に取り組もうとする国々の新たな政治的関心の表れです」と、新しく任命されたGARDのディレクター、マニカ バラセガラム (Manica Balasegaram) 博士は述べています。「今日のパイプラインは空洞化しています。グローバルコミュニティーとして従来の市場主導型を打破するアプローチを私たちは取る必要があります。GARDを通して、この問題に重要な貢献ができることを期待しております」と付け加えました。

 

GARDについて
DNDiのビジネスプラン2015-2023改訂版とWHOの薬剤耐性菌に関するグローバルアクションプラン (GAP – AMR) に端を発するGARDパートナーシップは、2015年12月にDNDiの理事会がインキュベーション (構築の試み) として承認しました。
WHO事務局長であるマーガレット チャン (Margaret Chan) 博士は、最近開かれたCEWG (Consultative Expert Working Group on Research and Development: Financing and Coordination) のフォローアップのオープンエンド会議で、「GARDはWHOとDNDiが共同で進めています。製薬業界が収益性の低いことを理由に開発しない医薬品をターゲットとしています。いくつかのインセンティブモデルも試験的に適用します」と述べました。
GARDは、WHOと密に協力して病気や病原体の優先項目に取り組み、グローバル研究開発オブザーバトリー (Global R&D Observatory) のデータ入力およびデータ利用していきます。GARDは、対応の不十分な公衆衛生上の優先項目に重点を置き、ニーズが最も大きい項目を対象として、かつて取り組まれた分野に分け入って戦略的なアクセスの可能性を探ります。
マニカ バラセガラム (Manica Balasegaram) 博士は、国境なき医師団 (MSF) の必須医薬品キャンペーンの最高責任者を4年間務めた後、GARDに参加しました。バラセガラム博士は、医師の訓練を受けた後、英国とオーストラリアで内科および救急医療のキャリアを積み、サハラ以南のアフリカと南アジアに国境なき医師団から医師として派遣されました。後にDNDiのリーシュマニア症の研究開発プログラムの責任者となりました。顧みられない病気や感染症における臨床・公衆衛生の実践、臨床試験および薬剤開発、保健政策と医薬品のアクセスに関する国際的業績や、進行中の医薬品アクセスに関する国連ハイレベルパネルを含む様々な専門家の技術委員会への参加経験が多数あります。バラセガラム博士は2016年6月に正式に着任します。

以上

 

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【Drugs for Neglected Diseases initiative, DNDi:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ】
1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発 (R&D) に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (GHIT Fund) による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム (WHO-TDR) が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org

【DNDi Japan】
DNDi Japanは、2003年に日本の活動を開始し、2009年に特定非営利活動法人として東京都の認証を受けました。顧みられない熱帯病 (NTDs) に苦しむ途上国の人々を援助するために日本の窓口として、DNDi本部のプロジェクトを支援し日本国内外の協力先と協働して、NTDsの治療薬開発、それに関連する能力開発、ならびに啓発活動など、発展途上国の人々の保健医療、福利厚生に貢献することを目的とした活動を行っています。www.dndijapan.org

 

お問合せ:広報担当 松本 眞理 (mmatsumoto@dndi.org / TEL03-4550-1195)