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(2008 年7月29日)

次の資料は、サノフィ・アベンティス社(フランス、パリ)および非営利団体「顧みられない病気のための新薬イニシアティブ(DNDiDrugs for Neglected Diseases initiative)」(スイス、ジュネーブ)が721日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集したものです。この資料の正式言語はフランス語・英語であり、その内容および解釈についてはフランス語・英語が優先します。 http://www.sanofi-aventis.com およびhttp://www.dndi.org をご参照ください。

 

                               

 

 

サノフィ・アベンティスとDNDi、 クリントン財団のACTに関する発表を歓迎、 低価格でのACT合剤「ASAQ」の提供を約束

パリ、ジュネーブ2008721日−サノフィ・アベンティスと非営利団体「顧みられない病気のための新薬イニシアティブ(DNDiDrugs for Neglected Diseases initiative)」は、アルテミシニンをベースにした合剤(ACT)の価格の変動を抑え、価格レベルを下げることを目的とした、クリントン財団のHIV/AIDSイニシアティブ(CHAI)により発表された合意を歓迎します。今回のCHAIによるイニシアティブは、マラリア患者さんすべてがACTを購入可能な価格で入手できるようにするためにサノフィ・アベンティスとDNDiが長年にわたって行ってきた努力に合致するものです。

2004年後半サノフィ・アベンティスとDNDiは、アーテスネートとアモジアキンの合剤を、公共市場向けに特許を適用しない形で、成人に1米ドル未満、小児には0.50米ドル未満で提供するためパートナーシップを結び共同開発を行うことを発表しました。2007年、ASAQ Winthrop®(「ASAQ」)の導入によりこの目的は達成され、ACTを製造する企業すべてに同様の価格レベルを目指すよう促す決定的な役割を果たしました。

サノフィ・アベンティスは、特にCHAIにより予測される数量について、他の製造企業と同様の価格で「ASAQ」を提供することを確約しています。「ASAQ」には、以下のような利点があります:

•「ASAQ」は世界保健機関(WHO)の推奨に準拠し、(1錠中に2種類のマラリア治療薬を含む)合剤であるため、一括包装形式(2種類の錠剤を1つのブリスター包装に入れて提供する)より、患者さんの服薬コンプライアンスが確実に向上します。

ASAQは一括包装形式より1日に服用する錠剤数が少なく、乳児や青年を含む小児用量は11錠を3日間、成人の場合も12錠を3日間服用するだけで済みます(一括包装形式では小児の場合1日最大4錠、成人の場合18錠の服用が必要)。

ASAQ錠剤は水溶性であり、小児のニーズに適しています。

20072月、「ASAQ」はWHOの事前審査に申請され、現在審査最終段階にあります。

サノフィ・アベンティスの「医薬品へのアクセス(Access to Medicines)」プログラムとDNDiは、購入しやすい価格で医薬品を提供することに加え、以下を目指して、さらなるパートナーらと協力して取り組んでいます:

ASAQの包括的な安全性を示すために、有効性試験に加え、薬剤安全性監視計画を実施します。

•薬剤が適切に処方されるよう促し、マラリアに対する社会の認知を高めるために、薬剤に関する補完情報や教育資材を提供します。

サノフィ・アベンティスは、業界有数の強力な抗マラリア薬パイプラインを有し、DNDiやその他のパートナーとともに、マラリアとの世界的な闘いに積極的に取り組み続けます。

パートナーについて

DNDiについて

「顧みられない病気のための新薬イニシアティブ(DNDiDrugs for Neglected Diseases initiative)」は、独立の非営利医薬品開発パートナーシップとして、マラリア、リーシュマニア症、ヒトアフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、シャーガス病など、顧みられない病気の新たな治療薬開発や治療薬改善のため、研究開発に取り組んでいます。これらの病気の満たされない需要に取り組むことを目的に、顧みられない病気が流行している地域にある公共研究機関4団体と、フランスのパスツール研究所、国境なき医師団(MSF)との共同で2003年に設立されました。DNDiは、業界や学術界と協力し、キネトプラスト綱による病気について最大の研究開発ポートフォリオを擁し、臨床段階のプロジェクトが6件、非臨床段階のものが4件、現在進められています。2007年、DNDiは、サノフィ・アベンティスとのパートナーシップのもと、最初の製品である抗マラリア合剤「ASAQ」を発売しました。20084月にはFar-manguinhos(ブラジル)と協力し、ラテンアメリカとアジアの合併症を併発していない熱帯熱マラリア原虫に感染した患者さんに対する第一選択薬として、2番目の製品である抗マラリア合剤「ASMQ」を発売しました。

サノフィ・アベンティスについて

世界をリードする製薬企業の一社であるサノフィ・アベンティスは、医薬品の創薬発見・開発・販売を通じて、人々の生活の質の向上に取り組んでいます。

サノフィ・アベンティスは、パリ(Euronext:SAN)およびニューヨーク(NYSE:SNY)に上場しています。

詳しくはwww.sanofi-aventis.comをご覧ください。

 

(2008年7月)                         

  >>原文

DNDi WHO の共同声明 

(翻訳)  美馬 伯海子

全世界で10億人以上を苦しめ続ける

「顧みられない熱帯病Neglected tropical disease

 

2008630日 ジュネーヴ】 感染症・寄生虫病は多くが、予防可能あるいは治療可能であるにもかかわらず、いまだに全世界の死亡原因の第一位を占めています。近年、国際社会の関心は、HIV/AIDS、マラリア、結核、世界規模の健康の安全保障に集まっています。しかし、この他にも、地域固有の慢性的な熱帯病が存在し、貧しい人々の暮らしに深刻な影響を与えているにもかかわらず、国際的な公衆衛生の検討課題として取り上げられることなく見過ごされています。 

顧みられない熱帯病の多くは、まず最初に、貧しく生活のための資源を殆ど持たない、社会的進歩から取り残された人々に影響を与えます。途上国においては病人本人、家族、そしてコミュニティー全体を侵します。発病による大きな負担と生産性の低下は、貧困の悪化を招き、長期間にわたる高額な治療費へとつながり、あらゆるレベルで社会経済的発展と生活の質(QOL)に悪影響をもたらします。そのため、これらの病気の疾病対策と予防は、貧困の緩和とミレニアム開発目標(MDG)の達成にも大きく貢献すると考えられます。

これらの顧みられない熱帯病の中には、効果的なパートナーシップのもとに治療薬の無料提供を行う大規模なプログラムを持つものもあり、最終的に疾病そのものを撲滅することを目標として、潜在的に病気の危険にさらされている人に対して安全かつ有効な薬を提供しています。しかし、疾病対策となる低価格で効果的な介入方法が存在するにもかかわらず、人材や資金不足のために、病気に苦しむ多数の患者が有効な治療を受けることが出来ずにいます。

一方他の疾病、例えばヒトアフリカトリパノーマ症(アフリカ睡眠病)、シャーガス病、リーシュマニア症、ブルーリ腫瘍、などの疾病対策の強化は、十分なツール自体が存在しないため最大の課題であると考えられ、効果的で感染地での必要性に応じた治療、診断、予防のための、選択肢が必要となっています。

新しい、実用的かつ効率的なより良い診断方法と治療薬、そして、それらを導入するための効果的な方法についての研究が必要とされています。微生物は日々進化し続けているため、最良の治療薬も、一度微生物に薬への耐性が出来る、或いは病型が変化してしまうと効果を失ってしまいます。有効な薬の開発や耐性発現の予防のため、またこうした取り組みを一度限りの成果としないためにも、長期的な投資が不可欠です。

 

既存の医薬品や診断方法は使用に際し技術的に厳しい条件がつくため、使用が制限されたり入院期間が長くなり、特に自給自足を営む農村地帯では患者の生計に深刻な結果をもたらします。より簡単に服用できる安全な薬が開発されるまでは、疾病予防の取組みは極めて多くの資金を要する、「最も必要としている人々に提供する」という戦略に矛盾するものであり続けてしまうでしょう。

製品開発パートナーシップの継続的な努力にも関わらず、既存の治療薬や診断方法は適切とはいえず、それらを医療現場に届けるためのインフラも不備であることは大きな制約となっています。

病人には、手ごろな価格の安全な診断や治療を受ける権利があります。これらの疾病を予防管理し、人々の健康と貧困問題に影響を与えてゆくためには、長期的なリサーチのための投資と支援プログラムが歩調を同じくしてゆくことが必要です。それにより、現在進行中の意欲的な取り組みが約束しているものを、実現してゆくことが出来ます。数々の研究、感染対策、介入のためのパートナーシップに基づき、「最良の予防診断や治療方法を病気の危険にさらされている全ての人々に行き渡らせる事ができれば、顧みられない熱帯病は撲滅することが可能である」という確信を実現することができるでしょう。

 

20087月に日本で行われるG8サミットに向けて、是非以下の声明を正式に取り上げることをご検討頂きますようお願い申し上げます。

 

G8は顧みられない病気(Neglected disease)が、世界的な人類の健康(グローバル・ヘルス)、教育に関わり、途上国経済にとっては脅威となりうる重要な問題であるという認識に基づき、その予防プログラム及び、より実用性の高い治療・診断方法の研究開発イニシアチブを支援する。更に、G8は、現在行われている取り組みを更に強化するための、適切かつ持続可能な財政機構の設立を推奨し、途上国における優先順位の高い保健医療の必要を満たすために必要なイノベーションを支援することに心から同意するものである。」

 

世界保健機関

World Health Organization

Department of Control of Neglected Tropical Disease

Director

Dr. ロレンツォ・サヴィオリ

 

Drugs for Neglected Disease initiative

Executive Director

Dr. ベルナール・ペクール

 

 

 

 

(2003年11月)

治療薬開発の新たな方向Bucking the trend
(New Internationalist No.362
November 2003 p25)
 

世界で最も無視されている病気の治療薬のうち、欧米の巨大製薬会社が開発しなかった薬がいくつもあるが、それは、見込みのある市場が存在しないことが理由となっている。DNDi(NI 354 p33も参照)は、睡眠病、シャガス病、リーシュマニア症等に対する治療薬の一部を開発することを決定した。しかも、2010年代中に公平かつ迅速に用意することを目標に定めた。DNDiの戦略のひとつに、巨大製薬会社とのパートナーシップがある。シャンペイ自身、以前はフランスの製薬会社Rhone-Poulenc Rorer(Hoechstと合併し、現在はアベンティスとなった)の研究開発担当副社長であった。

NI: DNDiは、巨大製薬会社との間にどの様な協力関係を求め、そこから何を得たいと考えているのですか?

Yves Champey: 私達が求めていることはふたつあります。ひとつは、業界の研究開発に携わる人々の専門技術や知識を利用すること。なぜならば、そこには業界で一番豊富な経験を積んだ人々がいるからです。もうひとつは、私達が特殊なプロジェクトについて協力を求めているということです。つまり、見込みある新しい薬を発見した時には、製薬化合物ライブラリー[訳注:化合物のデータベース]を利用したり、工業開発面での支援を受けたりする必要が出てくると思われるのです。


NI: 製薬ビジネスは完全に市場によって支配されています。巨大製薬会社をDNDiのプロジェクトに引き込むのに、どのような見返りを用意できるのでしょうか?

YC: 率直に言って、経済的見返りは微々たるものです。しかし、あなたもお分かりのように、研究開発分野の人々は、貧しい人々に関係するプロジェクトで働きたいし、そのエネルギーと知識を必要とする人々のために使ってみたいと考えているのです。また、小さいコストで非常に重要なプロジェクトに大きく貢献できる可能性がDNDiのプロジェクトにはあります。彼らの知識と専門技術が患者達にもたらされるということが重要です。もしもその結果、巨大製薬会社のイメージにプラスとなっても、それはそれで良いでしょう。


NI: DNDiが、熱帯病のひとつに効く薬を開発したとしましょう。その時にはどうやって公平なアクセスを保証するのですか?また、誰がその薬の特許を持つことになるのでしょうか?

YC: DNDiが単独で薬の特許を持つということはありえない話だと思います。なぜなら、DNDiは実際に医化学の研究をするわけではないのですから。しかし、確実に保証される必要があるのは、最大限可能な限り患者達の利益になるような内容で特許契約を結ぶということです。治療薬を使うのを貧しい国々の特定の地域に限れば、利益は出ないか、あっても最小限となるでしょう。例えば、リーシュマニア症は、ニューヨークのベルビュー病院では症例がまったく無いのですから。


NI: 国境なき医師団の元代表ジェームス・オービンスキーは、救命治療薬は「公共物であり、単なる消費財とは別のものだと認識されなけらばならない」と述べていますが、DNDiはどう考えますか?

YC: 私達がジェームス・オービンスキーと共に発展させてきた考え方は、薬と保健は公共財であるというものです。しかし、現実的になる必要があります。私達が今後数年間で利用したいと考えている化合物は、この先誰かが所有してしまうでしょう。ですから、私達がその化合物を使って治療薬開発ができるという条件で、所有者と契約を結ぶことになるのです。将来的に、もしも私達の試みがうまく行けば、国際的な薬の公共ライブラリーを立ち上げることができるかもしれません。そしてそれは、「公共財」とみなされる化合物を集めた化合物バンクへと最終的にはつながって行くでしょう。しかし、それはまだまだ先の話です。


NI: あなたの製薬業界での経験の中で、何があなたをDNDiのようなプロジェクトに引き込むきっかけとなったと思いますか?

YC: 若い頃、内科医としてアルジェリアの極端に厳しい状況下で働いていました。そんな専門家に成りたての頃の経験は通常忘れないものです。私が製薬業界で働いていた時も、私は絶えず特殊な病気に取り組み、いつも「権威的」と見られない態度を忘れずに働いてきました。マーケティング、利益、市場でのシェア等をそれほど考えずにすむ場所で働くことができたのも幸運だったのだと思います。


NI: DNDiが取り組もうとしている病気は、政府や国際的な組織が活動する公衆衛生分野での大きな取り組みが必要であるという批判も聞こえてきます。この様に考えると、DNDiは大海の一滴のようなものだと思われますが。

YC: それは一滴かもしれませんが、大海も一滴が集まったものではありませんか? 私達には大した政治力はありませんが、私達のパートナー団体を通して、DNDiが政策提言力を発揮できればと期待しています。状況は複雑で潜在的な問題にまみれています。私達は確かに万全な状態ではありません。しかし、すべての情勢が決着を見るまで待っていたのでは何も起こらないでしょう。前に進むより他にどんな選択肢があると言うのでしょうか?


www.dndi.org

<DNDiのパートナー団体>
・国境なき医師団
・オスワルド・クルス研究所(ブラジルの国有製薬会社)
・熱帯医学研究トレーニング特別プログラム(ジュネーブに本部を置き、国連、世界銀行、世界保健機関から援助を受けている)
・パスツール研究所(フランス)
・インド医科学評議会
・マレーシア保健省
・ケニア中央医学研究所