[ジュネーブ(スイス)/ウォルサム(米国マサチューセッツ州)発]
- 非盲検無作為化試験では、現在の標準治療法であるアジスロマイシン(azithromycin)とセフトリアキソン(ceftriaxone)との併用に対するゾリフロダシンの有効性と安全性を評価します。
- 毎年、約8,700万件の新規淋菌感染症例が報告されています。Neisseria gonorrhoeaeは、世界的に推奨されている治療法に対し耐性獲得を続けており、世界保健機関World Health Organization :WHO)により「優先度の高い病原菌」に分類されました。
ジュネーブ(スイス)/ウォルサム(米国マサチューセッツ州)-9月30日
-本日、薬剤耐性感染症への新規治療薬を開発する非営利組織であるグローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ (Global Antibiotic Research & Development Partnership: GARDP)と新規抗菌薬の創薬と開発に重点的に取り組むクリニカル・ステージ(臨床特化型)のバイオ製薬企業であるエンタシス・セラピューティクス社(NASDAQ: ETTX)は共に、ゾリフロダシンの国際共同第3相臨床試験が開始されたことを発表しました。ゾリフロダシンは、合併症のない淋菌感染症への治療薬として開発された新規ファースト・イン・クラス (first-in-class) の経口抗菌薬です。これまでにNew England Journal of Medicine (NEJM)誌で発表された第2相試験の良好な結果に続き、GARDPがすべての資金を提供し、国際第3相試験をサポートする形で、エンタシス社とGARDPが連携して開発の後期段階を完了させます。
淋菌感染症は一般的な性感染症(STI)であり、特に15~24歳の男女に弊害をもたらしています[1]。毎年、推定8,700万件の新規症例が報告されており、淋菌の感染率が世界的に増加しています[2]。合併症のない淋菌感染症は罹患率が高く、他の性感染症への感染を助⻑することから最も危惧されている感染症です。淋病の起炎菌はNeisseria gonorrhoeaeですが、世界で推奨される治療法に対する耐性獲得を続けており、世界保健機関(WHO)から世界の健康にとって最大の脅威をもたらす「優先病原菌」の一員に特定されました[3]。
WHO性感染症部門のメディカル・オフィサーであるテオドラ・ウィ(Teodora Wi)博士は「淋病の増大は、世界的に相当数の病人と多大な社会心理的および経済的な負荷を生み出しています。同時に、Neisseria gonorrhoeae治療の最後の砦とされている薬剤に対する耐性獲得も確認されています。これが新規治療薬を緊急に必要とする理由であり、またWHOがGARDPを支援する理由なのです。」と述べています。
「ゾリフロダシンの第3相試験開始は重要なマイルストーンであり、この疾患に感染した人々に希望をもたらします。淋病が治療不可能となる最悪なシナリオを回避し、この感染症を撲滅させるためにも、エンタシス社との連携は重要です。」とGARDPエグゼクティブ・ディレクターのマニカ・バラセガラム (Dr. Manica Balasegaram) 医師は述べています。「4カ国にまたがる本臨床試験の国際的特性は、住む場所に関わらず、この治療を必要とする人すべてに治療薬へのアクセスを確保するとした我々のコミットメントを表すものです。」
この試験では、米国、オランダ、タイ、南アフリカの臨床試験施設から、尿路生殖器に淋菌の感染がある成人、約1,000人の登録を見込んでいます。試験に登録された患者はゾリフロダシン群またはセフトリアキソンとアジスロマイシンの併用群のいずれかに無作為(2:1)に割り付け、1週間後に感染の持続があるかを評価します。第3相臨床試験のデータは、2021年を予定しています。
「ゾリフロダシンの第3相臨床試験は、当社の淋菌プログラムにおける最後の大規模試験です。エンタシス社とGARDPとの連携は、あらゆる抗菌薬がすぐに効きにくくなる病気に対して、この新規経口治療薬への世界的なアクセスを可能にするとした当社のコミットメントを反映すものです。」と、エンタシス社社長兼CEOのマノス・ペロス(Dr. Manos Perros)博⼠は述べて います。「両者は共に経口治療薬にこそ解決策があると信じています。経口治療薬は、現在ある耐性を克服するだけではなく、筋肉注射を必要とする既存の標準治療法と比べはるかに便利になります。この国際第3相臨床試験を進めるにあたり、GARDPとの継続した連携を楽しみにしています。」
パートナー契約に基づき、GARDPは第3相試験、および規制当局からの承認取得と市場アクセス、入手しやすさへの支援を目的としたゾリフロダシンの医薬品開発に関して責任を負うことになります。低所得国と一部の中所得国を含む最大168国においては、GARDPがゾリフロダシンの商業的権利を有する一方で、他の地域においてはエンタシス社が商業的権利を継続して保持します。第3相臨床試験の開始は、この営利企業と非営利団体との新しいパートナーシップにとって、新規抗菌薬を共同開発し、開発された医薬品を淋病の蔓延国や治療を最も必要とする患者へ届けるための戦略を構築する上で、重要なマイルストーンを刻むものです。
以上
GARDPについて
GARDP(Global Antibiotic Research and Development Partnership グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ)は、薬剤耐性感染症に対する新規もしくは改良された抗菌薬の開発を行う非営利の研究開発組織です。GARDPはWHO(世界保健機関)およびDNDi(Drugs for Neglected Diseases initiative 顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ)により設立された組織であり、WHOの薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランの中でその重要な役割を担っています。www.gardp.org
Entasis (エンタシス社) について
エンタシス社は、多剤耐性グラム陰性菌による重篤な感染症に対する新規抗菌の創薬、開発、商業化に注目したクリニカル・ステージ(臨床特化型)のバイオ医薬品企業です。病原体をターゲットとするエンタシス社の創薬プラットフォームは、スルバクタム-デュロバクタム(適応: Acinetobacter baumannii)、ゾリフロダシン (適応: Neisseria gonorrhoeae)、およびETX0282CPDP (適応: Enterobacteriaceae)などの医薬品候補のパイプラインを構築しています。エンタシス社はまた、このプラットフォームを利用し、新しいクラスの抗生物質やペニシリン結合タンパク質(NBPs)に対する非βラクタム阻害剤(適応:グラム陰性菌)を開発しています。詳細は、www.entasistx.comをご覧ください。
エンタシス社の将来の予測に関する記述
本プレスリリースには、1995年米国私募証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の意義における将来の予測に関する記述が含まれています。「may(可能性がある)」、「will(するでしょう)」、「expect(期待する)」、「plan(計画する)」、「anticipate(見込む)」、「estimate(推定する)」、「intend(意図する)」などの言葉および類似する表現(将来の出来事、条件、または状況を参照する他の単語または表現も含む)は、将来の予測に関する記述であることを特定する目的で使用しております。これらの将来の予測に関する記述は、本プレスリリースの日付におけるエンタシス社の見込みと仮定に基づいています。これらの将来の予測に関する記述にはそれぞれ、リスクと不確実性が伴います。実際の結果はこれらの将来の予測に関する記述と著しく異なる可能性があります。非臨床または臨床研究中に観察される安全性または有効性に関する予期しないデータ、見込よりも低い臨床試験実施施設の立ち上げ率または臨床試験への患者登録率、予測されるまたは既存の競合他社における変化、法規制環境の変化、エンタシス社と連携する組織等による連携もしくは候補医薬品に対する支援が行われない、または連携推進が行われない、予期しない訴訟または他の争議など、多くの要因により、実際に生じる結果が当社の予測から大きく乖離する可能性がます。これら要因の多くは、エンタシス社が制御・管理できる範囲を超えております。これらおよび他のリスクや不確実性は、エンタシス社が米国証券取引委員会に提出した書類に含まれる「リスク要因」と題するセクションの中で詳細に記載しております。この発表に記載されている将来の予測に関する記述は、この日付で作成されたものであり、法律で義務付けられている場合を除き、エンタシス社は、新たな情報を入手した場合であっても、本リリースに含まれる将来の予測に関する記述を予測の変更を反映して更新する義務は負っておりません。
<報道関係問い合わせ先>
GARDP media contact
Caleb Starrenburg
+41792540207
cstarrenburg@gardp.org
Entasis media contact
Kirsten Thomas, The Ruth Group
+1(508) 280-6592
kthomas@theruthgroup.com
GARDP (特定非営利活動法人DNDi Japan内)
井本 大介
Tel: 03 6258 0303
dimoto@dndi.org
【出典】
[1] Gonorrhoea: CDC Fact Sheet
[2] More than 1 million new curable sexually transmitted infections every day
[3] WHO publishes list of bacteria for which new antibiotics are urgently needed