アフリカ睡眠病初の経口治療薬フェキシニダゾールがコンゴ民主共和国において承認を取得

[2019年1月30日 パリ/ジュネーブ]

  • フェキシニダゾールは、死に至るアフリカ固有の顧みられない熱帯病であるアフリカ睡眠病を2020年までに制圧する国際的な取り組みに貢献します
  • フェキシニダゾールはアフリカ睡眠病の初の経口治療薬であり、すべてのステージで効果が認められています
  • アフリカ睡眠病の全報告症例のうち約85%を占めるコンゴ民主共和国に、この疾患による負荷が集中しています

ガンビア・トリパノソーマ (Trypanosoma brucei gambiense) によるヒト・アフリカ・トリパノソーマ症 (HAT、別名アフリカ睡眠病) の治療薬として、コンゴ民主共和国 (DRC) においてフェキシニダゾールの申請が承認されました。これにより、ウガンダで予定されている申請とともに、今年フェキシニダゾールを流行国において普及させる道が開かれました。

アフリカ睡眠病は、治療しなければ通常死に至る疾患です。この疾患はツェツェバエに刺されることにより感染し、攻撃行動や精神病の症状、そしてこの病名の由来である、衰弱による睡眠障害などを引き起こします。サハラ砂漠以南のアフリカに住むおよそ6,500万人が感染リスクに曝されています。

「私とアフリカ睡眠病との個人的なつながりをご紹介します。私は東アフリカで育ったため、私の母はアフリカ睡眠病が家族に影響を及ぼすのではないかと常に心配していました。」と、サノフィ社最高医学責任者で医療部門エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるアミート・ナスワニ医師 (Ameet Nathwani) は述べています。「コンゴ民主共和国でフェキシニダゾールが承認されたことは、来年までにアフリカ睡眠病を制圧しようとする我々の取り組みに大きな希望を抱かせてくれます。」

現在のアフリカ睡眠病に対する治療法は有効ではあるものの、患者や医療従事者にとって負担が小さくありません。入院治療に際しては、特に僻地に住む人々にとって、物流面が大きな課題となっています。

フェキシニダゾールは、ガンビア・トリパノソーマによるアフリカ睡眠病 (西アフリカと中央アフリカで見られる最も一般的な病型) に対する1日1回、10日間の治療法として、コンゴ民主共和国で承認されました。特筆すべきは、フェキシニダゾールは、(i) 病気の初期 (第1期) および (ii) 原虫が血液脳関門を通過し、患者に神経精神症状があらわれる第2期の両方に有効な、初の経口治療薬であるということです。したがって、フェキシニダゾールの登場により、今後患者の入院治療は必要なくなります。

2018年11月16日、欧州医薬品庁 (EMA) は、非営利の研究開発組織であるDNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative 顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ) が主導した臨床試験の結果と、サノフィ社が提出した申請に基づき、フェキシニダゾールについて肯定的な科学的見解を採択しました

「私たちは、フェキシニダゾールが第一選択薬として導入されることを心待ちにしています。また、欧州医薬品庁が見解を公表した後、コンゴ民主共和国でフェキシニダゾールが非常に速やかに承認されたことは、コンゴ民主共和国保健省が、公衆衛生上の課題であるアフリカ睡眠病を2020年までに制圧するという目標に向けて、いかに真剣に取り組んでいるかの証しであり、大変素晴らしいことと受け止めています」と、DNDiの顧みられない熱帯病ディレクターであるナタリー・ストラブ-ウォルガフト (Nathalie Strub-Wourgaft) 医師は述べています。「欧州連合 (EU) 域外で使用される新薬の承認審査を対象とした画期的な規制メカニズムである欧州医薬品庁第58条の真価がここにあります。」

サノフィ社は2017年12月に、規則726/2004 第58条に基づき、申請資料を欧州医薬品庁に提出していました。フェキシニダゾール申請資料の評価に、流行国 (コンゴ民主共和国とウガンダ) とWHOを巻き込むことにより、第58条による承認は将来的な各国での承認や患者のアクセスを容易にし、さらに加速化させることが期待されています。

アフリカ睡眠病について
アフリカ睡眠病患者のほとんどは、コンゴ民主共和国で報告されています。2017年には、Trypanosoma brucei gambiense (ガンビア・トリパノソーマ) 症例の85%がコンゴ民主共和国で報告されており、中央アフリカ共和国、ギニア、チャドがこれに続きます。2018年7月に発表されたWHOの最新データでは、新たな症例数が持続的に減少していることが確認されています。2017年にWHOに報告された新規症例は1,447例のみでしたが、2016年には2,164例、また2009年には9,870例が報告されていました。しかし、アフリカ睡眠病の流行は、沈静化した状態から数十年の間隔で再燃する特徴を示しています。2012年に発表し、同年のロンドン宣言で支持された顧みられない熱帯病のロードマップの中で、WHOは、アフリカ睡眠病を公衆衛生上の課題とし、2020年までに制圧することを目標としています。

<DNDi について>
非営利研究開発組織である DNDi は、顧みられない病気、具体的には、ヒトアフリカトリパノソーマ症 (アフリカ睡眠病)、リーシュマニア症、シャーガス病、フィラリア症、マイセトーマ、小児HIV (エイズ) および C型肝炎に対する新規治療薬の開発を目的とした活動を行っています。2003年の発足以来、DNDiは8つの治療法を開発し、患者に届けています。フェキシニダゾールはDNDiによる新規化合物からの開発が成功した初めての治療薬です。

フェキシニダゾールは以下の組織からの資金により開発されました。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国; 英国政府、英国; オランダ外務省国際協力総局 (DGIS)、オランダ; ドイツ連邦教育研究省 (BMBF) KfWを介する、ドイツ; フランス開発庁 (AFD)、フランス; ドイツ国際協力公社 (GIZ) ドイツ政府として、ドイツ; フランス外務・欧州問題省 (MEAE)、フランス; 国境なき医師団 (MSF); ノルウェー開発協力局 (Norad)、ノルウェー外務省、EDCTP2に対するノルウェーのインカインドによる貢献の一部として; スイスジュネーブ州、Internal Solidarity Service、スイス; スペイン国際開発協力機構 (AECID)、スペイン; スイス開発協力庁 (SDC)、スイス; UBS Optimus財団、スイス; Brian Mercer慈善信託、英国; Stavros Niarchos財団、米国、およびアフリカ睡眠病キャンペーンに対する財団もしくは個人の寄付

<サノフィ社について>
サノフィ社は、健康上の課題に立ち向かう人びとを支えます。私たちは、人々の健康にフォーカスしたグローバルなバイオ医薬品企業として、ワクチンで人々を守り、革新的な医薬品で痛みや苦しみを和らげます。希少疾患をもつ少数の人々から、慢性疾患をもつ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けます。
サノフィ社では、100ヵ国において10万人以上の社員が、革新的な医科学研究に基づいたヘルスケア・ソリューションの創出に、世界中で取り組んでいます。
サノフィ社は「Empowering Life」のスローガンを掲げています。

以上

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<DNDi 報道関係問い合わせ先>

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Photo credit: Xavier Vahed-DNDi