アフリカ睡眠病初の経口治療薬フェキシニダゾールの米国FDAからの承認取得

[2021年7月19日 パリ/ニューヨーク]

この度米国食品医薬品局 (FDA) は、アフリカ睡眠病 (別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症) の初期・後期の両ステージで有効な初の経口治療薬として、フェキシニダゾールを承認しました。

フェキシニダゾールは、主たる臨床試験を実施した非営利研究開発組織のDrugs for Neglected Diseases initiative (顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ、以下「DNDi 」) と、コンゴ民主共和国・中央アフリカ共和国の国家アフリカ睡眠病対策プログラム、およびサノフィ社との革新的なパートナーシップにより開発されました。

アフリカ睡眠病はツェツェバエの刺咬により人への感染が起こる寄生虫疾患です。主にサハラ以南アフリカの僻地で暮らす人々が感染し、約6,500万人が感染リスクに晒されています。治療しなければ死に至る可能性の高い疾患です。

現在の治療選択肢は有効ですが、患者や医療従事者の負担となる注射や点滴のための入院が必要であり、とりわけ遠隔地域で暮らす人びとにとって大きな課題となっています。

「アフリカ睡眠病の簡易な経口治療薬が開発され、最前線で治療にあたる医師たちの夢が遂に叶いました。」とDNDi 最高責任者であるBernard Pécoul医師は述べています。「アフリカ睡眠病で苦しむ国の研究者と緊密に連携し、サノフィ社との長期にわたるパートナーシップで達成されたこの最新の成果を誇りに思っています。」

フェキシニダゾールは、ガンビア・トリパノソーマ症 (Trypanosoma brucei gambiense ; 西アフリカおよび中央アフリカで見られる最も一般的なアフリカ睡眠病の病型) に対し、1日1回10日間処方されます。病気の初期 (第1期) および 原虫が血液脳関門を通過し、患者が神経精神症状を示す後期 (第2期) の両ステージで有効な、初の経口治療薬です。本日米国FDAは、体重20 kg以上かつ6歳以上の小児および成人に対する使用を承認しました。

「このFDAによる承認は、顧みられない熱帯病 (NTDs) の制圧を目指す意欲的なパートナーシップを通じ、世界保健機関 (WHO) と共に20年前に開始したアフリカ睡眠病との戦いにおける弊社の長年のコミットメントの中で、非常に重要な成果と言えます。」とサノフィ社グローバルヘルス部門のSenior Vice PresidentであるLuc Kuykens医師は述べています。「2018年末に欧州医薬品庁 (EMA) により採択された肯定的な科学的見解に続き、このFDAによる承認は、アフリカ睡眠病の持続的な制圧を後押しする重要なステップです。」

FDAによる承認の結果、DNDiには優先審査バウチャー (PRV) が与えられました。FDAの熱帯病PRVプログラムは、アフリカ睡眠病を含む顧みられない熱帯病 (NTDs) の新薬開発にインセンティブを与える制度として、2007年に開始されました。PRVからもたらされる利益は、サノフィ社とDNDiでシェアされ、アフリカ睡眠病や他の顧みられない病気に対する新たな医薬品の革新的な開発とアクセスへの継続的な投資に充てられます。サノフィ社はWHOとの長期にわたるパートナーシップの一環として、WHOへの治療薬寄付を通じた蔓延国への治療薬提供を継続することを表明しています。

DNDi、サノフィ社、およびパートナーは、すべてのアフリカ睡眠病蔓延国ですべての患者が確実にフェキシニダゾールにアクセスできるよう、一層尽力していきます。

以上

 

アフリカ睡眠病について
アフリカ睡眠病 (別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症) は治療がなければ通常、死に至る疾患です。ツェツェバエの刺咬により人への感染が起こり、特定症状のない期間の後、攻撃行動などの神経精神症状と、この顧みられない病気の名前の由来となった衰弱による睡眠障害へと進行します。サハラ以南アフリカで暮らす約6,500万人に、中程度~非常に高い感染リスクがあります。

DNDiについて
Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi) は、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症、シャーガス病、フィラリア感染症、マイセトーマ (菌腫)、小児HIV、C型肝炎、および新型コロナウイルス (COVID-19) 感染症を対象に、患者のニーズに基づく安全で有効で入手可能な治療の研究開発にパートナーシップで取り組む、非営利の研究開発組織です。2003年の設立以来、後期アフリカ睡眠病患者を対象としたニフルチモックスとエフロルニチンの併用療法NECT、およびアフリカ睡眠病初の経口治療薬フェキシニダゾールなどを含む、9つの新たな治療を開発し、患者に届けてきました。詳細については、www.dndi.orgをご覧ください。

サノフィ社について
サノフィ社は、健康上の課題に立ち向かう人びとを支えます。私たちは、人々の健康にフォーカスしたグローバルなバイオ医薬品企業として、ワクチンで人々を守り、革新的な医薬品で痛みや苦しみを和らげます。希少疾患をもつ少数の人々から、慢性疾患をもつ何百万もの人々まで、寄り添い支え続けます。サノフィ社では、100ヵ国において10万人以上の社員が、革新的な医科学研究に基づいたヘルスケア・ソリューションの創出に、世界中で取り組んでいます。

 

英文プレスリリース リンク

 

<報道関係問い合わせ先>
特定非営利活動法人DNDi Japan
中谷 香
E-mail: knakatani@dndi.org
Tel: 03-6258-0303

 

DNDiフェキシニダゾール研究開発およびアクセスは、以下の組織からの資金に支えられています。

コンゴ民主共和国 – 保健省 (世界銀行のHealth System Strengthening for Better Maternal and Child Health Results Project (PDSS) を通じて)
欧州連合 (EU) – 欧州・開発途上国臨床試験プログラム (EDCTP) 第2プログラム
フランス – フランス開発庁 (AFD)、およびフランス外務・欧州問題省 (MEAE)
ドイツ – ドイツ連邦教育研究省 (BMBF、KfWを通じて)、およびドイツ国際協力公社 (GIZ、ドイツ政府として)
オランダ – オランダ外務省国際協力総局 (DGIS)
ノルウェー – ノルウェー開発協力局 (Norad)、およびノルウェー外務省 (EDCTP2へのインカインドの一部として)
スペイン –  スペイン国際開発協力機構 (AECID)
スイス – スイスジュネーブ州Internal Solidarityオフィス、およびスイス開発協力庁 (SDC)
英国 – 英国政府
ビル&メリンダ・ゲイツ財団、Brian Mercer慈善信託、ELMA財団、Else Kröner-Fresenius-Stiftung、国境なき医師団 (MSF)、Stavros Niarchos財団、武田薬品工業株式会社、UBS Optimus財団、その他の財団もしくは個人の寄付

 

Photo credit: Kenny Mbala-DNDi