内臓リーシュマニア症およびアフリカ睡眠病の新規治療開発に取り組むDNDiとパートナーの2つのプロジェクトが2021年DNDiプロジェクト・オブ・ザ・イヤーを受賞

[2021年10月6日]

 

Drugs for Neglected Diseases initiative (顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ、以下「DNDi 」) は、創薬および臨床研究の各段階で素晴らしい進展を遂げた、DNDi研究開発チームとパートナーによる2つのプロジェクトを、2021 年のDNDiプロジェクト・オブ・ザ・イヤーに選出したことをお知らせします。DNDiの研究開発ポートフォリオにある50以上のプロジェクトの中から、DNDi科学諮問委員会による候補推薦とDNDi理事会による選定を経て、本受賞が決定しました。

 

S07化合物群の内臓リーシュマニア症を対象としたリード最適化 – 2021年プロジェクト・オブ・ザ・イヤー (創薬段階)

内臓リーシュマニア症に対する既存の治療薬は、痛みを伴う注射剤で、毒性があるうえ、長期投与が必要であり、価格も高く、蔓延する地域の大半で使用に適していません。DNDiとパートナーは、経口剤としての開発を目的した全く新しい化合物の創薬に取り組み、すべての年齢の患者に使用可能な、より安全で、簡便で、有効な治療選択肢の提供を目指しています。

S07化合物群は、DNDiと複数の製薬企業によるグローバルなコンソーシアム「顧みられない熱帯病 (Neglected Tropical Disease、以下「NTD」) 創薬ブースター」で見い出され、リード最適化に進んだ初のプロジェクトです。「NTD創薬ブースター」では、NTDsに対する新たな治療薬候補の特定を目指し、各製薬パートナーが独自に保有する何百万もの化合物コレクションをin silicoで多角的に同時探索しました。日本の公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (Global Health Innovative Technology Fund、以下「GHIT Fund」) などの資金提供を受けて実施されたこの国際的なイニシアティブでは、これまでに18,000以上の化合物探索と抗寄生虫活性の試験が行われました。

「NTD創薬ブースター」における武田薬品工業株式会社 (以下「武田薬品」) とのパートナーシップにより、内臓リーシュマニア症に対する有望な新規化合物として特定されたS07リード化合物群は、メディシナルケミストリーによる構造最適化を進めることで、安全性および有効性の更なる改善に取り組んでいます。GHIT Fundの更なる資金提供を受け、2023年までに少なくも1つの最適化されたリード化合物を前臨床候補化合物として選定することを目指しています。

「S07化合物群は、患者のニーズを満たし、NTDsに対するグローバルな目標の達成に欠かすことのできないツールを見出すための、我々の創薬パートナーシップが作り出す素晴らしい進展の証と言えます。」とDNDiの研究開発部門ディレクターであるLaurent Fraisse博士は述べています。「武田薬品とDNDi創薬チームによるこのプロジェクトの進展により、「NTD創薬ブースター」のような革新的な協働が、科学的な創薬の取り組みと将来の医学革新を推し進める強力な役割を果たすことが証明されました。」

 

アフリカ睡眠病を対象としたアコジボロール開発 – 2021年プロジェクト・オブ・ザ・イヤー (臨床研究段階)

DNDiは、毒性があり、現場に適していない、扱いにくい治療法を、経口薬による簡易な治療に置き換えることで、アフリカ睡眠病 (別名ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症 (HAT)) の治療に革新をもたらし、疾患制圧に貢献することを目指しています。2018年にはDNDiとパートナーにより、アフリカ睡眠病に対する初の経口治療薬であるフェキシニダゾールが開発されました。現在はフェキシニダゾールの工業化パートナーであるサノフィ社とともに、診断時に服用でき、1回の投与で治療可能な経口治療薬として、アコジボロール開発の最終段階に取り組んでいます。

「アコジボロールは、特に僻地や紛争、政情不安を抱える地域において、アフリカ睡眠病のtest-and-treat (検査と治療) パッケージを飛躍的に推し進め、疾患制圧を確実にする最後のひと押しとなります。」とLaurent Fraisse博士は述べています。「臨床開発における進展は、サノフィ社、コンゴ民主共和国の国立生物医学研究所 (Institut National de Recherche Biomédicale (INRB))、コンゴ民主共和国およびギニアの国家アフリカ睡眠病対策プログラム、そしてDNDiアフリカ睡眠病チームの揺るぎないコミットメントなくしては、実現しませんでした。」

アコジボロールは2012年に、DNDiによるリード最適化プログラムから臨床開発に進んだ初の新規化合物となりました。昨年には、コンゴ民主共和国とギニアで実施したDNDiの第II/III相臨床試験のすべての患者に対する治療後18カ月間のフォローアップが完了しました。アコジボロール承認後は、サノフィ社が製造、供給、登録、そして流通の責任を担います。アフリカ睡眠病が蔓延する国の保健システムを通じ、患者に無料での治療薬提供に取り組むサノフィ社と世界保健機関  (WHO) の20年に及ぶ協力関係に感謝します。

以上

 

内臓リーシュマニア症について

アフリカ睡眠病について

 

<問い合わせ先>
特定非営利活動法人DNDi Japan
中谷 香
E-mail: knakatani@dndi.org
Tel: 03-6258-0303